夜、8時を過ぎた頃。
B地区の通りが賑わいだす。街に活気が溢れる。
だがすぐに、それは、怒声にまみれた混乱の渦へと変わる。
表通りから、どこかの玄関の扉を激しく叩く音がする。悪態とともに。
通行人1「ちきしょー、なんで開かねぇんだ、バカヤロー!」
通行人2「毎晩毎晩、いいかげんにしやがれ!」
秘密結社「ミナト」の窓から、表通りを眺める麦とjiwer。
jiwer「おやおや、また小人か」
麦「今夜もひどいな。どこも開かないようだぞ」
Y!王国の夜は危険極まりない。小人の活動時間だ。
どの家のドアも開かない。自分の家にすら帰れないのだ。
それでも果敢に夜遊びに出た住民達に、さらなる受難が待ち受ける。
行く先々で扉が開かない、
開いたと思ったら真っ白のワープゾーンへ放りこまれる、
やっと友人に会えたと思っても声が出ない、
すぐそこに見える相手に、たった一言さえ届けられないこの歯痒さ!
街は住民達の怨嗟の声で満ちる。「このDoAhoo!」
jiwerが、表通りの人影に気づいた。
jiwer「おや、お帰りのようですね」
玄関の扉を開けに行くと、めいでんが扇子をパタパタさせ立っていた。
めいでん「や~ここはひどい所だ、やれやれ。あ、鍵は開けといてね」
jiwer「鍵なんか掛けてませんよ。小人です」
めいでん「またかい。参ったね。G地区はいいよ~。道路はスイスイ、扉は普通に開くし、小人の気配も無い」
jiwer「またpincompさんの所ですか。そういえば一緒に行ったRIKUさんは?らぶさんも」
めいでん「あっちのほうが快適だってさ。今夜は帰って来ないかもね」
麦「・・・」
部屋の隅で、ゆずゆが手を握り締めた。
ゆずゆ「麦さん、最近元気がないわ。なんだか可愛そう」
prowler「藪の中だね」
ゆずゆ「??」
prowler「蚊はいそうだね、カワイソウダネ・・・ゆずゆちゃん、お茶ちょーだい」
ゆずゆ「自分で入れなさいッ」
【わたりとりのひとりごと】
Y!ブログ最大の特徴は、「重い」だ。
ともかく重い。慢性的に重い。しばしば殺人的に重い。「重いんじゃアホー」と罵倒する記事と「今日も重いですね」「ええ重いですね」と頷きあう住民の会話がさらに事態を重くする。同じY!でありながらサクサク動くジオログが別天地に見える。
Y!の中でG地区だけが改革特区なのか、B地区だけが最悪特区なのか、それは誰にもわからない。
Y!ほどの企業であれば、サービス開始前にユーザー数を予測し、それに見合ったインフラを整えたはずである。
サービス開始後2ヶ月程でどうにもならないトラフィックに陥ったということは、ユーザー数か、ユーザーの行動(特にコメント投稿)数がY!の予想を大きく超えたに違いないと私は考える。
Y!の見込みが甘かったことを批難するつもりはない。対応が後手に回ったとしても、しっかりした是正案をもって改善を図れば、企業としての矜持は保てたはずだ。
だが未だに、その様子はうかがえない。システムに負荷を掛ける無駄な機能ばかりが追加され続けている。
いわゆる「商品の爆発的なヒット」は企業の経営危機を引き起こすマイナス要因になりうる、と言われている。
見込みの甘い増産・設備投資に走った結果、大量の不良在庫・多額の負債を抱える危険があるからだ。
だが、真の問題は別にある。
顧客の問い合わせやクレームに対応する【カスタマーサポート部門】に莫大な負荷がかかり、結果サポートの品質が下がり、顧客の不満が回復不能なほど深刻なものとなり、企業のブランドイメージを失墜させ、さらなる不満を、最後には顧客の離反を招く――大きな負の連鎖を引き起こすのだ。
今年 Y!は、大ヒット商品を産んだ。
その先に待ち受けているのは、果たして・・・
スポンサーサイト